企業理念・会社の方針

従業員満足につながる企業理念・会社の方針

企業理念・経営理念とは、「そもそもその会社は何のために存在するのか?」「どんな価値観を持っているのか?」など、その会社の根本的な理念のことをいいます。
人間で言えば、その人の哲学・思想・宗教などといった、その人の根本的な価値観ということになるでしょう。

企業理念は、大企業であればほとんど明確に規定してあるはずです。一方、中小企業で明確な企業理念を掲げている会社は思いのほか少ないのが実情です。
もっとも、大企業であっても「りっぱな企業理念」が形だけであり、何の効力も発揮しない、社員は誰もその存在すら知らない、といったことも少なくありません。
それでは、「あるだけ」であり、「ない」のとほとんど同じことです。
企業理念は、明確に規定した上で従業員にしっかりと浸透させ、永続的に会社全体としてそれを体現していかなくては意味がありません。

「想い」が企業理念を作る

この企業理念は、多くの場合その「創業者の想い」を反映していることが多く、そのため、その「創業者の想い」が強ければ強いほど、後々まで企業理念として根付いていく傾向があるようです。

この企業理念がしっかりと従業員の共感を得るものであれば、当然彼らは会社の目指すものと、自分の目指すものを重ね合わせ、高いモチベーションと共に最大の努力をし、そして最高の満足感を得るはずです。
逆に企業理念をしっかりと規定していなければ、「儲かれば何でも良い」とか「何がしたいのかわからない」といった声が出てくるかもしれません。全社員が一丸となり、高い満足度で一つの方向に向かっていくためにもこの企業理念はとても大切な要因です。

ただし、企業理念は根本をなす価値観ですから、決めるのも変えるのも簡単ではありません。
思いつきで毎年のように変わるようでは「また社長の思いつきか。」と従業員に思われてしまうでしょうし、 一見立派な企業理念を掲げても、経営陣が実際にはそれにそぐわない行動ばかりするようでは、「言っていることとやっていることが違う」となり、誰もその企業理念を信用しなくなってしまいます。

企業理念は、しっかりと熟慮した上で明確に決め、それに従って会社の戦略を練り、それが従業員に浸透すようにしっかりとアナウンスしていくことを継続的に行っていかなくてはいけません。
あるCEOは、経営者としての時間の40%を理念や信条を組織に浸透させることに費やしたといいます。

また、パナソニック創業者の松下幸之助氏は「経営理念を確立して浸透させれば、その事業は半分成功したものと同じ」という言葉を遺しています。

経営理念(企業理念)とは?

経営理念(企業理念)は哲学や精神を示したものであり、正しい型があるわけではありませんが、理解しやすくするために「ミッション(使命)、ビジョン(目標)、バリュー(価値基準)」に分解されることが良くあります。

「ミッション」とは企業の使命・存在意義。果たしたいこと。
自社は何を成し遂げるのか、どこへ向かうのか、何のために存在するのか、を簡潔に定義したもの。
欧米では経営理念よりこれを掲げる企業が多い。

「ビジョン」は、実現しようとする未来の自社や社会の姿。ありたい姿。

「バリュー」は、信念・価値観。大切にしたいこと。
ミッションを体現していくにあたって大切なこと。従業員の判断基準となる行動指針や行動規範。


例えばソフトバンクの企業理念の体系は下記のようになっています。

 【ソフトバンク】
経営理念:「情報革命で人々を幸せに」
ビジョン:「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」
バリュー:「努力って、楽しい。」「No.1」「挑戦」「逆算」「スピード」「執念」

参考にしたい!本気になるビジョン・ミッション・企業理念11選

ここからはグッとくる企業理念を紹介します。ここで紹介している企業は企業理念・ミッション・ビジョンといったものを中心に置きそれを日々実践している企業ばかりです。そしてそれこそが違いを生み出す源泉となっています。


京セラ

社是
敬天愛人

経営理念
全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類社会の進歩発展に貢献する

http://www.kyocera.co.jp/company/philosophy/

まず第一に紹介したいのが京セラの経営理念です。経営理念としては一番有名かもしれません。経営理念のお手本といえるほど完璧じゃないでしょうか。
社是は西郷隆盛が好んで使ったとされる言葉です。創業者の稲盛和夫氏の経営哲学が色濃く繁栄されている印象です。


サントリー

Our Mission企業理念
人と自然と響きあう

Our Vision目指す姿
Growing for Good

Our Values基本となる価値観
チャレンジ精神「やってみなはれ」
社会との共生「利益三分主義」
自然との共生

http://www.suntory.co.jp/company/philosophy/

サントリーで有名なのは価値観としての大切にしている「やってみなはれ」という言葉です。創業者の鳥井信治郎の口癖だったといいますが、チャレンジ精神を企業のDNAとして受け継いでいくための言葉として浸透しています。


スターバックス

Our Mission
人々の心を豊かで活力あるものにするためにー 一人のお客様、いっぱいのコーヒー、そしてひとつのコミュニティから

Our Values
私たちは、パートナー、コーヒー、お客様を中心とし、Valuesを日々体現します。

お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化をつくります。
勇気を持って行動し、現状に満足せず、新しい方法を追い求めます。スターバックスと私たちの成長のために。
誠実に向き合い、威厳と尊敬をもって心を通わせる、その瞬間を大切にします。
一人ひとりが全力を尽くし、最後まで結果に責任を持ちます。

私たちは、人間らしさを大切にしながら、成長し続けます。

http://www.starbucks.co.jp/company/mission.html

「スタバ」と「スタバに似たコーヒーショップ」を明確に区別しているのはスタバには人々を魅了する「何か」があるからだそうです。 そして、その「何か」を生み出すのはミッション(使命)に他ならないといいます。元スタバCEOの岩田松雄氏の著書「MISSON」より。


YKK

YKK精神
「善の循環」他人の利益を図らずして自らの繁栄はない

経営理念
更なるCORPORATE VALUEを求めて

https://www.ykk.co.jp/japanese/corporate/m_principle.html

非上場のまま独特の経営を続けるYKKは、ファスナーで世界にその名を知られる名門企業。「YKK精神」は、創業者吉田忠雄氏の企業精神であり、YKKグループの基本姿勢を表現したものだそう。
善の巡環の意味を表す考え方のひとつが成果三分配。吉田は「百二十円のファスナーが六十円でできたとする。得した六十円をお客さま、関連産業、YKKで三等分すればみなさんが喜び、またYKKの製品を使ってもらえて良いことが巡環する。YKKの分はさらに良い製品づくりに使う」と説いたのだそう。
「三方よし」(買い手よし、売り手よし、世間よし)で有名な近江商人の活動の理念に通じるところがありますね。


Nike

ミッションステートメント
世界中の全てのアスリートにインスピレーションとイノベーションをもたらすこと。

http://help-en-us.nike.com/app/answers/detail/a_id/113/~/nike-mission-statement

単なるスポーツシューズのメーカーではないことがわかります。テレビCMもNIKEのものは目を奪われます。


Patagonia

パタゴニアのミッション・ステートメント
最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する。

http://www.patagonia.com/jp/patagonia.go?assetid=2047

パタゴニアは、登山用品やアウトドア用品、サーフィングッズ、スポーツウェアなどの製造販売を行うアメリカ企業。
同社の環境へのこだわりは通常のCSR(企業の社会的責任)のレベルをはるかに超えています。例えば売上げ(利益ではなく)の1%を環境団体支援に用いる「1%fortheplanet」。その発想の根源にあるのは、「企業は(株主でも経営者でもなく)地球のものである」という信念。
こうなるともはや環境問題に取り組むNPOのようですが、ミッションとそれを体現してきた姿勢は強烈に人を惹きつける魅力を持っています。


ヤフー

ビジョン
情報技術で人々の生活と社会をアップデートする。

ヤフーバリュー
問題解決って楽しい
爆速って楽しい
フォーカスって楽しい
ワイルドって楽しい

http://docs.yahoo.co.jp/info/vision/
http://hr.yahoo.co.jp/message/

Yahoo! JAPANは急成長を遂げた結果、会社は大きくなったものの個性や特徴が失われていくという大企業病に見舞われた。そんな時に刷新された新経営陣は「脱皮しない蛇は死ぬ」と考え、社員の行動指針となる「ヤフーバリュー」を発表。
最上概念である「課題解決」を実現するための3つのキーワード「爆速」「フォーカス」「ワイルド」。「問題解決」とは誰もが気づいていない課題を発見し、言語化して提示すること。「爆速」とは爆速発見・爆速決定・爆速実行。「フォーカス」とは成果を出すために2番目を捨てるくらい一つの強みに集中しようという意味。「ワイルド」とは「迷ったらワイルドな方を選べ」という意味で、チャレンジ精神やならず者(社名のヤフーは元来「ならず者」という意味)のDNAを思い出そうという意味。


リッツ・カールトン

クレド
リッツ・カールトンはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています。 私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだそして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。 リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしておこたえするサービスの心です。

https://www.ritz-carlton.co.jp/profile/goldstandard/

最高のホスピタリティを提供してくれることで有名なリッツ・カールトン。
従業員は理念や使命、サービス哲学が書かれたクレドカード(「クレド」とは、ラテン語で「信条」「理念」を表す言葉。)と呼ばれるものを携帯しています。これは、「リッツ・カールトンはお客様や従業員にとってどんな存在であるべきか。そのために私たちは何をすべきか」を徹底的に話し合った内容がまとめられたもの。
「クレド」、「サービスの3ステップ」、「モットー」、「サービスバリューズ」、「従業員への約束」からなるゴールド・スタンダードというものに集約されています。


番外編

リクルート

旧・社訓
自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ

創業から8年目に当たる1968年に、創業者である江副浩正氏によって作られたもの。1989年に公式な社訓としては姿を消したが、同社の中にいまも強く根付いている。リクルートにおいて、「新しい価値を生み出すこと」に対する経営者の強い信念を表すと同時に従業員を強く引きつけてきた。


電通

鬼十則
1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2. 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
4. 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

http://www.yhmf.jp/outline/about/regulation.html

日本最大の売上高の広告代理店である電通。4代目社長吉田秀雄により1951年(昭和26年)につくられた電通社員の行動規範ともいえるのがこれ。モーレツな働きぶりが目に浮かびます。


近江商人

商売哲学
三方よし「売り手よし、買い手よし、世間よし」

明治以前、今の滋賀県は近江と呼ばれており、ここを拠点に活動した商人のことを近江商人(おうみしょうにん)と呼んだ。そんな彼らの商売哲学がこれ。
普遍的な価値を持つ精神なので紹介しました。

まとめ

ここで紹介したのは個人的に「いいな〜」と思うものばかりです。中には普遍的な価値を持つものから、とんがったものまで様々ですが、どれも人を惹きつける魅力に溢れています。

繰り返しますが、企業理念やビジョンやミッションといったものはただ持つだけでは意味がなく、ちゃんと命を吹き込まなければ機能しません。

命の吹き込まれた企業理念は人を鼓舞する力があります。従業員にとっては仕事のやりがいにつながるでしょうし、判断基準ができるので仕事上の判断もスムーズになるでしょう。
また、雇用においても自社の価値観にマッチした人を選別しやすくなり、会社と従業員の価値観の相違という不幸も減らせます。
対外的にも自社のファンになってくれる人がきっと増えるはずです。

そこまで行くには、しっかり考え抜いて自社の経営理念を打ち立てて、それに命を吹き込んんでいく作業が必要になります。したがて、実際にやるのはかなり大変なことですがやる価値は十分にあるものです。
きっと働く人なら誰でもそんな会社で働きたいでしょう。

この記事が何かの参考になれば幸いです。

従業員満足につながる要因